Blog いんぱるぱぶれ

夜ばなし・その1

夜咄

夜ばなし・その1

その1 夜ばなし・その1

Thank you for reading this post, don't forget to subscribe!

眠りにつく前にするお話。楽しい話、悲しい話。話は色々あるけれど、一番おもしろいのは、やっぱり怖い話。ひとつ今夜も、それを話そう。

我が先祖に医者がいた。夜も更けたころ、美しい女人が二人、訪ねてきた。年配の方は母親で、若い方はその娘。母親が、娘は気がふれているようだから、診て欲しいと言う。今日はもう遅いから、今夜は離れにお泊りになって、明日、ゆっくりご診察をしましょう。下女に案内をさせて、二人は離れに泊った。

真夜中、風が強くなり、辺りの木々はざわざわと鳴った。ざら~、ざら~、ざざざ。風の音が耳につく。離れの二人はゆっくり休んでいるだろうか? 医師はそう思いながら、いつしか深い眠りに落ちて行った。

空が白む。昨夜の風が嘘のようにおさまって、ひっそりとしている。朝の冷気が張り詰めて、医師の鼻先を冷たくしていた。ふと目を覚ました医師は静けさに、はっとして起き上がった。あの二人、昨晩の母娘はどうしているだろう? まだ早い。下女も起きてはいまい。彼はそそくさと起き上がり、ひとり身支度を整えて離れに急いだ。

べつに変わった様子もないようだけれど気になって、そっと扉を押してみた。開いている。そして思わずあっと声をあげた。娘が、長い黒髪を振り乱した娘が、目の前に立っている! 母親の首がねじ切られていた。

これは我が先祖、シュンプウ先生が体験したとされる伝説であります。当時は下男下女の言葉が、まかり通っていた時代でした。

関連記事一覧

  1. 縁切りの図
  2. 心霊写真
  3. 反復
  4. 藪

  5. 眠れる恋人たち
  6. 断食10日後
2020年4月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

アーカイブ

コメント

最近の記事

  1. 前世の修復

    2024.03.5

    前世の修復
  2. トルマリン湯

    2024.02.24

    トルマリン湯
  3. ハイゴ
  4. 愛と調和
  5. 歩き回る植物

    2024.01.4

    歩き回る植物
Banner

歩き回る植物

PAGE TOP