霊界にて
ふたつめの夢は、まるで映画を観ているようにビジュアルだった。だだっ広い空間に、小さな黒い入り口が開いていて、そこにターコイズブルーのリムジンが静かに滑りこんでくる。長い車体の中にはゴージャスな棺桶が入っている。え、これは霊柩車なのかと見ていると、棺桶に横たわっていたのは、花に埋もれ、若返って艶々としたした裸の祖母だった。どういうことかと思っていると、棺桶は黒い小さな間口から、建物の中に運び込まれて行く。何が起こっているのかと、あとを追えば、中では祝宴が張られている。白いテーブルクロス、ブーケ、輝くグラス、豪華なテーブルセッティングの上には、ご馳走然として祖母が皿に盛られて湯気を立てている。いったいこれは何事かと頭にきて、建物から飛び出してみたけれど、気になって戻ってみると、テーブルの上に祖母の姿はない。食べられた形跡もないけれど、そこに集っている人々に知人らしき人はいない。すると後ろから、怒った顔の祖母がやってきた。物凄い形相なので怖くなり、私は再び建物の外へ逃げ出した。祖母は追いかけてくる。私は逃げる。恐怖の中で思う。こんなのは何かの茶番だ。ついに私は大声で怒鳴った。「あなたは、死んだはずだ!」自分の声で目が覚めた。
今なら、事の次第がよく解る。祖母は私を心配していたのだ。生前から私は彼女の気づかいを鬱陶しいと、感じていたけれど、本当はとても頼りにしていた。祖母の死、無能な母、忙しさに追われて自分の自由が八方ふさがりな毎日に、心は萎えて、途方に暮れていた。祖母はそんな私の状況を、あの世から、見かねていたのだった。
つながりの深い相手が亡くなった直後よりも、むしろ落ち着いてから改めてつながりを感じるようになると思っています。
特に危機にある時に、画像や思考として伝達されくると感じます。もちろんそれは日常的な生きた人間同士の会話とは違いますが。
僕の場合、見えない、手で触れることのできない世界との交流の感覚は、冷静さを取り戻すためにとても役に立っています。
モニカさんもそうなのでしょうか?そうだと良いと思いました。
そうです、涼さん!この辺りから、あの世とこの世の交流に、コントロールが効くようになってきたみたいです。自分で話しかけて、相手の応えを受け止める。相手から送信されたメッセージ(夢とか、思い出とか、ふと出会う日常の出来事など)を受信する性能が上がった。それまでは、まぐれあたりみたいに行ったり来たりしていたと、いいますか。「みっつめの夢」の時から、あの世との交流に冷静さが出てきましたね。確かに・・・。次に何を描くか? はっきりしました。ありがとう!