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ひみつ その2

家族

ひみつ その2

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霊妙な世界への扉を開いたのは、祖母と母の死だったと以前、書いたけれど、家族が亡くなったら普通、落ち込んだり、泣いたり、しんみりするものだと思っていたのに、私はなぜか、異様にテンション・ハイになっていた。それはご先祖たちからの「おまえ、負けるな!」のエールだったかも知れないし、祖母や母からの思いやりだったかも知れない。以来、自分のものの見方が徐々に、変化し始めたことを自覚している。心の目で見る、観想するといったことの、言葉ではない実地研修が始まったと、言えばいいだろうか?

この世に生をうけるとは、定めし死というゴールも得たことになるんだけれど、魂は普遍だと判れば、何も絶望することはない。祖母と母は亡くなったけれど、彼女たちがあの世で修業を続けていることが、ありありと感じられるようになったので、人間は死なない、魂は普遍だからと、思うようになったのだ。それまでは理屈でしかなかった普遍。普遍性がリアルになって、命についての認識がすごく変わった。それは、この世に生まれるということは、生殖行為の結果だけではなく、もっと霊妙なレベルからやってくるものなんだ。ということだった。

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神は愛。宣教師サベリオ(ザビエル)がそう言ったとき、日本語には愛に値する言葉がなくて「お大切」という言葉が当てられたという。この「愛」という漢字、一般の漢和辞典には「ものを思い胸がいっぱいで、お腹を抱えながらゆっくり歩く姿」を表していると、書かれていたりするけれど、おおもとの意味は「気」という文字の原型の「旡」で、この旡は、今でいえばニュートリノ、宇宙のおおもとになる物質を表しているというから、昔の人だって既に、宇宙を動かしているエネルギー自体を意識していたことになる。これこそが愛なんだから、日本語ってすごいじゃないか!

旡の巡りをいちばん身近なところで体現しているのは樹木。文字通り木だ。旡=気=木。日本語はこういうところ、含みが深いなぁと思う。木は地面から水分を吸い上げて、自分の糧として光合成を行い、空気中にオゾンや水分を発散する。それらが気流に乗って、空へ昇り雲に達して、雨となる。これが人間の魂の巡りの縮図だと教えてくださったのは、春水先生だ。木は黙ってそこに立っているけれど、常に人とコンタクトを取りたがっているという。ここから、心の目で見る、内観ということが重要になってくる。

人の体も7割が水分だと言われているが、これが魂の巡りの出発点だ。水分は蒸気になって、空へ昇って雲になる。雲は雨を地上に降らす。この場合、雨はただの水分ではなく、あの世へ昇ったご先祖の魂たちが、雨となって降り注ぎ、大地を潤し命を育む、と成る。ヒトダマは青い炎として表現されるけれど、つまり魂は火なのだ。命の中心に火があって、それを広げ拡散するのが水。壮大な命の巡り、宇宙の縮図だ。神が焼きつくす火だと言われるのは、こういうことだったのだ。焼き尽くす火、なんて言われると、家が火事になるのかぁ?なんて、思っていたけれど、いまや新たな視点を得たのだった。

人の誕生には、4つのパターンがあるという。つまり神は4つの方法で、人をお創りになったのだ。まず父母なくして誕生したのが、人類の始祖アダム(力)。それから母なくして誕生したのがエヴァ(命)。父なくしてお生まれになったのがイエス様(私たちの中にいる神)。父母から誕生するのが、私たち人類。私はこれをヤコブス・デ・ヴォラギネの黄金伝説Ⅰで読んで、そうだったのかー!と、大納得した次第。これはキリスト教の考え方ということにとどまらず、きっと普遍的な教えを含んでいる。宗教は、人類が精神を発達させるうえで必要なプロセスで、この世の仕組みについて、理解を進めていく指針であると考えれば、宗教的エッセンスというものが必ずあって、そのエッセンスが目指すところはひとつの真理。この真理を人類になんとか理解させようとやっていらしたのが、マイスター(ブッタ、イエス、アッラー、そのほかの方々)たちだ。日本はいろんな神様が同居して、宗教戦争も起こらず隣り合っている不思議な国なんだけど、これもひとつの火と水のめぐり「ひみつ」なんじゃないかと、私は思っている。

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