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皮膚の奥から

皮膚の奥から

皮膚の奥から

皮膚の奥から 皮膚の奥から

この3年ほど、頬に炎症が出ていた。左側がひどくて右側が時々だった。小さな赤いふくらみが出来て、そこが割れて中から米粒の10分の1ほどの茶色い角栓が出る。この小さな角栓を排出するために皮膚は直径1センチくらいの炎症を起こす。それがふたつみっつと現れて、時にはそれらがつながって長い傷になったりして、頬にずっと傷がある状態だった。

原因は幼児期に投与された副腎皮質ホルモンの排出だ。細胞の奥深くに入り込んでいますから、出すのに時間が掛かっています、両手の炎症も影響していますねと南先生の言。

薬剤の投与で、顔に腫物が出たと家人から聞いていた。前世の傷だって修復されるんだから、今生の傷だって同じだろう。左右の親指の先は、いまだに皮膚が硬化しているので、硬い皮膚がめくれて剥がれ落ちたりする。化粧ばさみで硬化した皮膚をチョキチョキ切ることもできる。見かけはごく普通になっているけれど異物の排出は続いているのだ。

見かけという言葉が出た。私は見栄っ張りだから、見かけについて表面的なとらえ方を正さなければならなかった、というのがビランが私に与えた課題のひとつだ。どうして自分がこんな目に遭うのかと、最初は被害妄想に陥っていたけれど、その答えは、自分でそういう人生を送ると決めて生まれてきたからだと思うようになった。皮膚という表面から内面へ。見えているものから見えないけれどそこにあるものへ。ものの見方を矯めなおさなければならなかったのだ。これがビランギランが私に教えてくれたこと。炎症は事態への理解不足からきていると考えてみる。

五歳のとき、生まれて初めてバレエの舞台を観た。すっかり白鳥姫に心酔し、その日は夢心地で眠りについた。その翌朝、目が開かない。まつげがびったり張り付いている。急性結膜炎だった。目医者には否定されるだろうけど、結膜が炎症を起こした原因は心因性のものだと思っている。それは人生に害を及ぼすほどの「のめり込み」だった。ステージの夢の世界を、自分の中へを取り込み過ぎることをやめて、もっと客観的な態度をとるべきだと、結膜の炎症は警告していたのだろう。そんな事とはつゆ知らず、警告は無視され続けて、私は想念のレベルで過ちを犯し続けてきた。

ヴァスラフさまと再会したここ数ヶ月、目の修復が進んだ。バレエと目は私の中で密接に関わっていた。目が痛くなってきたので、眼精疲労かと思ってまぶたの上から触ってみたけれど眼球のコリがない。それでも痛みが次第にひどくなって、冷や汗が出て悪寒がしてきたので、これはエネルギー体の修復だと気が付いた。エネルギー体に蓄えられた負のエネルギーが浮かび上がってくるとき、具合が悪くなったりするから。そうして芸術家の狂気へ憧れた少女時代の想いが去って行った。狂気が導くように思われた異界は、見えないけれどいつもある事実であった。異界は必要な時に出現する。それがあちら側からの恵みなのだった。

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