天国への直通電話
祖母の錯乱は続いた。私はまたもや、手に負えない家族の状況に出くわしてしまった。2歳だった私は両親の不仲に絶望して、生きる気力を失ったけど、今度は少し知恵がついていた。私はあの世に助けを求めた。この狂える老女の両親の目線に立たなければやってられないと、思ったのだ。だから心の中でいつも、天国の曽祖父母に訴えた。曽祖父とは、この世で一緒だったことはない。けれども不思議と似たところがあった。水晶と印判を愛好する共通の趣味があったのだ。曽祖父も私も、石には意思があり、心静かに語りかければ応えがあると、知っている者の一人だった。また曾祖母については、明治の女性にしては長命で私が生まれた時、93歳だった。親族の中では、体の弱いことで有名だった母のことを、さぞ心配していた年長組のひとりだったろう。この、ざっと一世紀近く人生の隔たりがある曽祖父母に、私は密かな尊敬の念を持っていた。だから、どうしようもなく暴れまわる「あなた方の娘」について、何とかしてもらおうと思ったのだ。苦しまぎれと言えば、その通り。しかし何であろうと、私のかけた電話は天国とつながったのだ。それは意外なかたちで露わになった。守護霊は確かにいると、解かったのだ。
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